
沖縄に住んでいると、本土とは違う形で「日本と中国の関係」を肌で感じることがあります。
それは地理的な距離だけでなく、歴史・文化・経済、そして安全保障と、あらゆる要素が複雑に重なっているからです。今日は、沖縄から見た“いま”の東アジア情勢について、歴史と現在、そして自分なりの考えをまとめてみたいと思います。
■ 琉球王国の時代から続く、中国との長い関わり
沖縄(琉球)は、かつて独立した王国として海上交易で栄えた国でした。
その中で中国(明・清)はもっとも影響の大きい相手であり、朝貢関係を結んでいました。
- 中国から冊封使が来て、国王の即位を認めてもらう
- 中国の文化が琉球に強く影響
- 清との貿易は重要な収入源
- しかし同時に日本(薩摩)にも支配され、二重外交の時代が続く
この歴史的背景のため、沖縄の文化には今でも中国的な要素が残り、沖縄の人々の間にも「昔からの付き合い」という独特の感覚が少なからず残っています。特に沖縄に残る文化遺産(首里城などの城)にはとても多く中国からの要素が残っています。
つまり、沖縄の歴史は「日本と中国、どちらとも深く繋がってきた」という特異なもので、これは他の都道府県には見られない特徴と言えます。
■ 戦後の沖縄とアジアの緊張

中国と日本、どちらとも交流があった沖縄は、第二次世界大戦後、沖縄は27年間アメリカ統治下に置かれました。
その間、中国本土では中華人民共和国が成立し、台湾には中華民国政府が移りました。
沖縄はアジア情勢の“最前線”に近い場所として米軍基地が集中し、現在も在日米軍の約7割が沖縄にあります。
そのため、東シナ海の緊張や米中対立が高まると、沖縄は直接その影響や不安を感じやすい地域です。
■ 現在の日本と中国の関係を、沖縄の生活から感じること
いま、日本と中国の関係は決して良いとは言えません。最近では「台湾有事」に係る日本側の発言から、以前にもまして緊張感が増している現状があります。
- 尖閣諸島周辺に中国公船が来る
- 経済は依存し合い、観光客も多い
- 安全保障では対立が続く
- 政治的にも互いの不信感が強まっている
しかし沖縄から見ると、単純に「中国=脅威」だけでは語れません。中国人観光客に依存した現状があることも事実です。
● 観光とビジネスでは重要なパートナー
今では中国・台湾・香港からの観光客は沖縄の観光産業を支える大きな柱となっています。
那覇の国際通りでも、北部のリゾートホテルでも、中国語が飛び交うことは珍しくありません。街を走るレンタカーを見ても、スーパーの中でもとても多くみられます。
● 生活者としては安全保障への不安がある
一方で、尖閣周辺での中国公船の動きや、台湾有事の話題は、
「私たちの島が巻き込まれるのではないか」
という恐怖につながっています。
沖縄には米軍基地もたくさんある為、米軍の訓練で戦闘機・オスプレイなどが上空を飛び交う毎日。
これは日本本土ではわからない怖さだと思います。沖縄に観光に訪れた方々も一度は目にしたことのある光景だと思います。
● 沖縄の人は“戦争に対して強い拒否感”を持つ
私が住むこの沖縄には、沖縄戦で多くの住民が犠牲になった歴史があるため、
「戦場になることだけは避けたい」
という思いが他の地域よりもずっと強いのです。
おじーやおばーから聞いた話し、小さいころに平和学習などで見てきた戦場の風景など、正直戦争を体験していない私たちから見ても、これがほんとにあった出来事なのか。と思うほど犠牲になった事実があります。
いまだに建設現場から不発弾が発見される現状、手つかずの古い川からの銃弾が発見されたり、これが昔から沖縄では当たり前になっています。
■ 沖縄の人々は日本・中国をどう見ているのか?
これは一つの意見では語れません。
立場や年代で違いがあります。
しかし、共通して見られる傾向を挙げると……
● ① 歴史的には中国文化への親近感がある
エイサー、琉球舞踊、言語、料理、建築――
随所に中国文化の影響があり、完全な“他国”という距離感ではありません。
エイサーも含め、どれもいまでも大切に受け継がれている沖縄の文化です。
● ② 現在の政治的な中国に対しては不信がある
尖閣問題、軍拡、台湾への圧力など、
「沖縄に近すぎる」
という地理的要因が不安感を増幅させています。
昔はとても友好的な交流があった中国ですが、今の中国の行動は沖縄の人々からすると恐怖を感じる行動しか感じられません。これは台湾の人たちも同じ気持ちだと私は思います。
● ③ 日本政府に対しても複雑な感情
基地問題や沖縄戦の歴史から、
「本土の事情だけで沖縄が巻き込まれている」
と感じる人も少なくありません。
私たち世代は戦争を体験していないので、今の沖縄しか知らない世代。沖縄に基地がある中で生活してきました。基地があるのが当たり前、そうなってしまっているのが現状です。
おじーやおばーは昔の沖縄を知っています。どんな戦争があり、アメリカ軍・日本軍にどのようなことをされたかも。今はともに沖縄に暮らす軍人さんに対してもいまだに恐怖がよみがえる方も中にはいます。
これだけ小さい島にここまで集中する米軍基地。いざとなると本島に沖縄は守られるのか。
逆に標的にされるのでは。よくこう考えてしまいます。
つまり、沖縄の多くの人は
“中国にも不安、本土政府に対しても複雑、どちらにも完全には寄り切れない”
という独自の立ち位置を持っています。
■ 台湾有事について:沖縄の視点から見えるリアル
最近よく語られる「台湾有事」。
しかし、沖縄から見える現実は、本土のニュースとは少し違います。
● 地理的に近すぎて“対岸の火事”ではない
台湾まで約600km。
もし有事が起きれば、沖縄の米軍基地が使われ、
沖縄が巻き込まれるリスクは非常に高いと言われます。
● 沖縄と台湾は文化的にも交流が深い
観光、留学、ビジネス、歴史的背景など、
台湾は「近い外国」であり、「友好的な隣人」という印象が強い。
■ 私の考え:台湾も沖縄も中国ではない
最後に、筆者としての個人的な意見を書きます。
私は、「台湾も沖縄も中国ではない」と強く思っています。
- 台湾には独自の政府、民主主義、アイデンティティがある
- 沖縄には琉球という独自文化と歴史がある
- 人々が「自分は何者か」を決めるのは国家ではなく“その本人たち”
歴史を持っているから、近いから、かつて関係があったから――
それだけでは“領有”を正当化できないはずです。
沖縄は日本の一部ではありますが、
琉球の歴史と文化を尊重し、
“日本の中の特別な地域”として扱われるべきだと考えています。
台湾も同じで、
“中国の一部かどうか”ではなく、
“台湾の人がどう生きたいか”
を尊重することが何より重要だと思います。
■ おわりに:沖縄は東アジアの“最前線”ではなく、架け橋でありたい
沖縄は、戦争の犠牲者としてではなく、
日本とアジアを繋ぐ架け橋として存在していくべきだと感じています。
中国とも日本とも沖縄が架け橋となり、友好的な関係を築き上げ
戦争がもうおこらない、平和でこれからの子供たちが安心して生活ができ、
中国も日本も台湾も沖縄も、
みんなが行きたい場所で好きな人と楽しく過ごせるきっかけになってほしいと思います。
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